病院での不妊治療【人工授精と体外受精】

一般不妊治療と高度生殖補助医療

病院での不妊治療を大きく分けると、排卵のタイミングを確認しながら必要に応じて薬や注射を使い排卵や着床の補助を行うタイミング法や、人工授精などの「一般不妊治療」と、体外受精や顕微授精を行う「高度生殖補助医療(ART)」に分けられます。

人工授精(IUI) 

人工授精は、事前に採取した精子を洗浄濃縮して子宮内腔に注入することによって受精の場(卵管膨大部)に到達する精子数を増加させ妊娠の確率を上げる方法です。
夫の精子を用いるAIHとドナーからの提供精子を用いるAIDがあります。 
 
人工授精で注意しないといけないのは、人工授精に用いるために洗浄濃縮処理した精子の寿命は、一般的な精子の寿命(3~5日)に比べ、24時間程度と大幅に短くなることです。
 
排卵後の卵子の寿命(12~24時間)を考慮すると、精子を注入するタイミングがとても重要になってきます。 実際人工授精による妊娠率は5~10%程度といわれており、決して高くはありません。 妊娠率を上げるにはタイミング法との組み合わせ等の工夫が必要です。 
 

人工授精の適応

フーナーテストの結果が悪い人のうち

①子宮頸管粘液がやや少ない方
②抗精子抗体等免疫に問題ある方
③精子の数がやや少ない方

上記ような方に有効です。
※精子の状態に明確な基準はありませんが、WHO が定める正常精子数は1mlあたり1500万個、運動率40%以上をやや下回る程度(1mlあたり800 万~500万個程度)といわれています。 

 

人工授精のデメリットと解決方法

処理した精子は傷つき、劣化しているため、自然の状態よりも寿命が短い傾向にあります。移植日の前後にタイミング法も併用するほうがいいでしょう。  
 

体外受精とは? 

体外受精は、卵子と精子を体外に取り出し、体外で受精を確認し体内(子宮内)に戻す方法です。

通常は一周期に1個の卵子が育ち、排卵するのですが、様々な方法で卵子の数を増やすことが一般的です。妊娠にいたるまでのいくつかのハードルを飛び越え、ショートカットができるので自然妊娠以上の妊娠率が期待できますが、治療費が高額であったり、薬の副作用がでたりと、心身ともに大きな負担がかかることも少なくありません。

また、体外受精の成功率は高齢になるほど下がります。これは、自然妊娠や他の治療でも同じ傾向です。つまりより高度な技術を用いても、加齢による卵子の質の低下で、妊娠する確率は下がってしまうということです。

体外受精の成功率を上げるためには、卵子の質を良くするための体質改善の実践が必須です。

体質改善なしの体外受精では、何度体外受精を行っても成功する確率は低いままと言えます。 
 

体外受精の助成金について

体外受精の費用は高額になりがちですが、最も費用がかかるのが体外培養システムの維持管理費といえます。
全ての環境を受精卵が過ごしやすい状態に保ちながらも、受精卵以外の雑菌を排除するために無菌状態を維持しないといけないからです。
また、各機器や器具の開発は日々進んでおり、機材の変更が定期的に行われているため、維持管理費用は高くなる一方です。
その高額な体外受精費用を解決すべく、国や各自治体で提供されているのが治療費の助成ですが、年齢制限や回数制限があるため、適応条件は決して広いとはいえません。

しかし条件に当てはまる方は積極的に利用されたほうがいいでしょう。

ただ、あくまでも体外受精の目的は妊娠であり、助成金の利用では無いので、助成金を利用する場合でも、体質改善を行うことは忘れないでおきましょう。

また、「助成金の利用可能期間=妊活期間」ではありませんので「助成金が使えないから不妊治療が受けられない・・・だから妊活を辞める」という考えには陥らずに、家族を作る目的を見失わないようにしましょう。
繰り返しお伝えしていますが、妊活=不妊治療ではありません。 
 

人工授精と体外受精の違い (まとめ)

受精を医療的に補助する技術として、大まかに別けると人工授精と体外受精が挙げられます。言葉の印象としてはどちらも似たような感じがするかもしれませんが、これらは技術的にも体にかかる負担や費用的にも全く違うものなります。 

人工授精

排卵日に合わせて精子を採取し、精子を洗浄・濃縮後、細いチューブで子宮の中に精子を届けます。
精子を卵子との出会いの場に置いて来るだけなので、受精自体は精子と卵子そのものの能力で行われます。人工的な印象を受けやすいですが、射精のお手伝いをしているだけなので、妊娠率は自然妊娠とほとんど変わらず、10%前後です。
しかし、フーナーテストで問題があった場合や射精障害がある場合、EDなどで性交渉そのものができない場合などには有効です。
人工授精で妊娠される方の約 9 割の方は5回以内に妊娠し、それ以降の妊娠率は増加しないとされているため、5回から6回を限度として行われることが多いです。
費用はおよそ15,000円~ 
 

体外受精 

女性の卵子を体外に取り出し、体の外側で精子と出会わせ、受精のサポートを行います。
無事に受精卵ができた場合は、その受精卵を子宮に届け妊娠の成立を待ちます。卵子を体外に取り出すまでの期間、ホルモン剤などで卵巣を刺激し卵子の発育を促すため、 通院頻度の増加や、薬の副作用などで女性には心身ともに負担がかかります。
また、治療費が高額になり経済的な負担も重なります。
しかし、卵管の詰まりがある場合や、精子の数が極端に少ない場合のように、自然妊娠や人工授精で妊娠が厳しい方も妊娠が望め、妊娠率は人工授精よりも高く、30代で 35%程度、40代前半では15%~20%、40代後半では10%以下とされています。
費用はおよそ20万円~